貴腐ワイン

食事の後には甘いデザートが欲しくなるように、食後酒も甘口のワインがよく合います。
そんな食後に飲む甘いデザートワインの最高峰とも言われているのが貴腐ワインです。
私が始めて貴腐ワインを飲んだのは、海外旅行先のワインショップで試飲をさせてもらった時です。
小さなグラスに注がれた黄金色に輝くとろりとした甘いそのワインに、もともとそんなにワインを飲む方ではなかった私もぐっと心をつかまれてしまいました。
「お子さんが成人を迎える頃にはさらに熟成されてハチミツのようになりますよ」と言われ、購入して帰りました。

さて、この貴腐ワイン、原料は貴腐化したぶどうです。
リースリングやセミヨンなど果皮の薄い品種のぶどうの表面に、ボトリティス・シネレアという細菌がつくと、菌が果実の水分を蒸発させてしまうためぶどうの実はしわしわに干からびてしまいます。
そしてぶどうの周りはカビだらけとなり、見た目にはとても口にできないような状態になります。
しかしこのとき、ぶどうの果実の中では細菌によって様々な反応が起きており、ぶどうの糖度が上がり健康なぶどうにはないような成分が組成されているのです。
だから貴腐化したぶどうからは甘くて複雑な味わいのワインが出来上がるのです。

とは言っても、この細菌が赤ワインの原料となる黒ぶどうにつくと病気を引き起こしますし、リースリングでもぶどうが成熟する前に付着すると病気を起こします。
さらに夏には晴天が続き、収穫までの期間は朝もやが立ち、午後は晴れるという厳しい天候の条件をクリアしないと貴腐ぶどうは造れません。
この難しさが、貴腐ワインをさらに貴重な一品とさせているのです。